坂井紅介/Benisuke Sakai
2010年04月
校長先生?  (2010.4.29[Thu])

巨匠、佐藤允彦さんとのデュオでした。

大汗かいた。
楽しかった〜

楽しかった〜で済ましちゃいけないのだけれど、
楽しかった〜

ひたすら走り回った感じ。


実は、
私は、この世界へ入って、
有名プレイヤーやすごい人と共演するからといって、
緊張したことがない。

それは、
とんでもないお気楽な考え方を、
早くから見つけたからなんだけど、

その、考え方を思い付いたのが、
佐藤さんとの共演でして。

当時、私は、ウッドベースを弾いてみたくて、
ジャズの学校に入学したばかり。

ウッドベースを弾くのが入学動機で、
ホントはクラシックでもよかったんだけど、
ジャズなら簡単かな?
なんて思ってて、
マイルスデビスもジョンコルトレーンも知らない、
ジャズのことなんか、全く知らない人でした。

まあ、必死に練習しましたが、
まだ入学して半年、
佐藤さんは、この学校のカリキュラムを作成する、
校長先生みたいに偉い人でした。

佐藤さんが教えるアレンジのクラスの発表会に手伝いで駆り出されたことがあり、
初対面。

実は、佐藤允彦の名前は、
私が高校生の頃に知っていて、

友人が佐藤さんのファンで、

当時、佐藤さんが音楽担当のTV番組があって、
私も、その新しい響きに惹かれていました。

メジャーセブンの、なんとも都会的なサウンドを知ったのも、
佐藤さんの曲からです。
それもあって、この学校を選んだわけですが。

アレンジクラスの発表会は、
それは緊張しましたよ。

佐藤さん、
かけだしの私にも、きちんとミュージシャンとして対応。
でも、生徒にはめっちゃ厳しかったですから。

その後、どういうキッカケか覚えていないのですが、

佐藤さんのバンドの新宿ピットインの仕事に呼ばれました。

義理がたい佐藤さんのことだから、
アレンジクラス手伝いのお礼かもしれない、
と今思った。

ドラムは日野元彦さん。

まだ、元彦さんのバンドのレギュラーベーシストになる前のことですか
ら、

なんで私なんかが呼ばれたの???

?マークだらけの新人紅さん。

佐藤さんの音楽を聴いたことのあるかたは御存じでしょうが、

リリカル、
研ぎ澄まされた音、
水しぶきのように飛び散るサウンド、
霧のような倍音の虹、
斬りこむリズム、
呼吸のような余韻、

クラシカルな構築から、
フリーのアプローチ、
日本や民族的な表現まで、

形容し始めたら、尽きることがない。

あんなにピアノの上手い人、
いないんじゃないの?

渡された譜面だって、
意味わかんないけど、カッコイイ感じしたなぁ、、。

初心者の私にしてみれば、
一緒にステージ立つのが、
ありえない〜
ことなんだから、
もう、緊張したからといって、
太刀打ち出来る相手ではない。

そこで私は、こう考えた!

「あんたの方が上手いんだし、
芸歴長いし、
理論だって難しいこといっぱい知ってるんだから、
私があんたをサポートするなんて、
無理!

あんたは、すごいんだから、
あんたが私をフォローすることはできる。

それでしょ。

・・・」

我ながら、いいことに思い付いたと感心します。

でも、

「そのかわり、
私もカッコつけたってかなわないのはわかっているから、
演奏で嘘つかない、見栄を張らない。
自分らしく臨む。
それがあなたへの敬意、誠意。」

まあ、今書くと言い訳ですけどね。笑。

さらに、その後も、
佐藤さんは私を呼んでくれて。

なんででしょうね〜

自分の学校の学生が、
元気に遊ぶ姿が嬉しくて?

そりゃあ、毎回私だって、
いつか成長して、
信じられない音世界を創り上げる、
かっこいいデュオの誕生〜!!
そう思って来たんですけれどね〜


今夜の演奏を聴いた方々、
どうでしたか?

やっばり、
校庭で元気に走り回っている私を、
ピアノの向こうの校長室の窓から、
佐藤さんが優しく見守っていませんでしたか?


今夜のデュオ、
5月4日、横浜ジャズイズ0456815415で再演します。

大汗かいて必死になってる私が見れます。


ダンス、ダンス!!  (2010.4.25[Sun])

キューバ・ジャパン・フェスティバルが、
今年も5月1日〜4日、
上野野外ステージで開催されます。

cubajapanfestival.comで動画も見れます。

去年立ち上げて、大成功!
今年は、我らがマエストロ、
ベースの高橋ゲタ夫さんも参加してくれます。
ダンス面だけでなく、キューバ音楽でも、
さらに熱く盛り上がること間違いなしでしょうね。

去年1/13と3/20の紅日記に書きましたが、
今年も、
「上野にキューバがやってきます!」


もう一つ、ダンス公演を紹介。

佐渡を拠点に、世界に羽ばたく、
若林美津枝さんの公演が6月に、
佐渡、新潟、東京で開催されます。

「佐渡ノ舞姫」

狩野泰一が篠笛で入ります。

彼女のブログに詳しく載っています。
http://app.f.m-cocolog.jp/t/typecast?blog_id=127020&user_id=123323

ブログ3/30から彼女の言葉です。(抜粋)
「今回の大作ですが、
私が佐渡に居ながら感じたもの、、、
と一体になり、自分の体を通して表現していきたいと思います。
それは風だったり、海だったり、大地だったり、
またこの島に住む生き物だったりします。
彼らと静寂な会話を交わしながら創りあげていきたいと思います。」


彼女からは、別の報告が届いています。
嬉しいので、載せちゃいます。

「今年11月にベラルーシ共和国で開催される国際ダンスフェスティバル(IFMC)に、
私の作品「朱縷衣」が日本代表で推薦を受けました。
日本人の参加は15年ぶりとなるそうです。
恥ずかしくない踊りをしてこれるように頑張ります。」

すごいですね。

10月に神奈川公演の予定もあるようです。

しかし、なぜ私がダンス話???

好きなんですね。

私も飛び跳ねるぞ!

ダンスじゃないです、
音楽です。


最近の昔話  (2010.4.14[Wed])

今日は渋谷並木橋にある、
レザールというお店。

ここには、
ギターの塩崎容正バンドで出演しています。

以前の日記で、
四国の丸亀へ行った時に、
「ラウンドタートル」(=丸亀、そのまんまや)
という曲を作った塩崎容正、です。

彼が、昔の仲間に声をかけ、
この店で再会セッション。

もちろん、
「ラウンドタートル」もやりますし、

ピアノは、神童?野力奏一なので、
私の曲「パキラ」や、野力作「feelin' free」も。

そして、
ドラムのサンペイちゃん(平山しげお)の笑顔の超絶プレイ。

四人それぞれにキャリアがあるんだけれど、
顔合わせると、
懐かしいだけでなく、
「つながってる」感。
楽しかった!

MCで、
塩崎容正が、
「僕が東京へ出てきて一番最初のバンドに紅介がいました」
と紹介していましたが、

彼は忘れていますが、
初共演は、それ以前、

私が大阪へ行った時、
ふと入ったジャズクラブで演奏していたバンドリーダーが彼でした。

店のオーナーに、
「私は東京でベースを弾いている者なんですけれど、
一緒に演奏したいのですが」と、
勇気を出して申し出て、
次のステージで共演。

塩:「何やりたい?」

紅:「スタンダードでもお願いします。」

塩:「枯葉とか?」

紅:「はい。」

テンポもやりやすい早さで、
いい気持ちでしたが、
何故かベースソロが回ってこなかった。

塩:「もう一曲やる?」

紅:「はい。」

塩:「ブルースは?」

紅:「はい。」

とてつもなく早いテンポで、
しかも、ベースソロまでやらされた。

終わってお礼は言ったが、

どして?
東京人を目の敵にしてる?
まあ、いいけど。

そんな後味の、
20才の大阪夏の陣。


彼が上京して初のバンド。
私は彼を覚えていました。

忘れもしない、あいつです。(笑)

場所が東京ということで、
今度はこちらが優位。
仕返ししてやるもんね〜

いたずら心も浮かびましたが、
彼の方が上手だったし、音楽理論も詳しかった。

大阪の一件を告白しましたが、

塩:「そんなこと、あったかなぁ?」

かわいくな〜い!

20才そこそこの東京夏の陣は、
あっけなくかわされました。


今日のメンバーで、レザールを定期的にやりそうです。



9日のボディ&ソウルは、
海老沢一博(ds)セッションで、
ゲストがパーカッションの八尋トモヒロ。

彼との最初は、
「スピック&スパン」というブラジリアン・フュージョンのグループで、
私がエレキベースを弾いていた頃。
20代です。

今は、世界で活躍する彼、
海外の興味深いアーティストを紹介するプロデュースでも、
評判を得ています。

海老沢さんのアイディアで、
2NDセットの一曲目は、
ドラムとパーカッションとベースの三人だけで。

リスペクトし合う二人の打楽器アンサンブルは、
豊かで力強く気持ちよかったです。



先月からスタジオ仕事が続きましたが、
その一つに、
ボーカルの佐野智英子さんのレコーディングがありました。
ハスキーボイスが魅力的です。

前作CDをプロデュースしたのが、
私の大学時代のバンドリーダーだったり、

偶然なのですが、
エレキベースで参加のサリー佐藤さんは、
実は、
この業界で初めて私に仕事をくれた人なんです。

19才の時、
横浜関内にあった「オリンピック」というキャバレーで、
ビッグバンドの仕事。

1STセット終わって楽屋へ戻った時、
ステージ上に楽器を残してきたのは私だけで、
あとの全員は、楽屋とか屋上で練習を始めていました。
ひえ〜い。
インパクトの強い初仕事でした。


佐野さんレコーディングのアレンジは、
若い幡谷哲也さん。

個性の光るアレンジですが、
空間を自由にさせてくれる、
いいアレンジでした。

ピアノにも、
世界の広さと誠実な熱さが表れていて、

佐野さんの歌と見事にマッチしていました。

CD発売が楽しみです。



3日は高田馬場にある「ホットハウス」。
「世界一小さなライブハウス」と自称しているお店です。

小さいので、
メンバー全員は入れないので、
たいていはデュオ。

サックスの土岐英史さんが呼んでくれました。

嬉しいじゃ、あ〜りませんか。

普通は、ピアノとデュオか、サックス2本でしょう。

もう一つしかない枠に私を呼んでいただけて、
ありがたい。

期待に応えたい、
そんな意気込みも忘れて、
自然で自由で熱い演奏になりました。

お客さんも10人、
ギュウギュウの超満員です!

ラストの曲になると、
客席でカゴが回ります。

リクエストカードとチップ1000円が入れられていきます。

目の前で現金が積まれていく興奮。

アンコールに向けて気持ちが高揚していく、
いいシステムですね。ニコッ。

ママさんが出してくれる手料理も、
この店の魅力の一つで、

出演者は有名どころが顔をそろえていました。

次回は、ドラムも入れてトリオでやろう、
と土岐さんが言っていました。

上野のGH9があった頃、
よく、ピアノレスのトリオをやっていました。
楽しみです。



またまた長くなりました。
まだまだ書き残しているのですが、
この辺で。

あっ、そうそう、

今週末からのツアーで、
ピアノの岩崎大輔さんとやります。

最近は、吉田次郎さん(G)のセットで共演の機会がありますが、

平成20年度の福岡市文化賞を受賞した大ちゃん。
彼らしい作品発表と着実な成果、
素晴らしいですよね。
嬉しくなります。

今回、呼んでいただき光栄です。

初顔合わせは、
ボディ&ソウルが六本木にあった頃、
私が30才前後。
彼がアメリカから帰国してすぐの頃でしょう。

私は、瞬間的に、
「生涯の共演者」
と惚れ込みましたが、

片思いでした。笑。

私が、ビッグネームのバンドに呼ばれ、忙しくなり、
会う機会が減り、

しばらくして彼は九州やアメリカへ居を移し、

遠距離恋愛の、よくある結末…

万人が彼の人柄を賛美し、
彼の指導で巣立った音楽家も多数いるのでしょう。

素晴らしいピアニスト&作編曲家、指導者です。

今週末、
私は、昔、片思いしていた人に会いにいきます。
きゃは〜!
ひゅるるん〜。

楽しみです〜!

ではでは、みなさん、
どうぞお元気で〜、
バイバイ!


蕎麦焼酎ロック  (2010.4.6[Tue])


「ふふふっ、

フフッ、


田中屋さん、

そう来ましたか。


参りました。」



横浜平沼の蕎麦屋、田中屋さん、

以前の日記で、
「きざみ鴨せいろ」
そのオリジナルな、見事な味わいを書きましたが、

今回、特記すべき発見が。

そば焼酎の蕎麦湯割り、

まあ、蕎麦屋の特権のような、
蕎麦屋ならではの定番カクテルですが、

では、ロックで呑む場合は?


「それも、お任せ下さい」

そう答えているような、
この写真。

グラスの中に入っているものは、

蕎麦湯で作った氷、ですよ。

丸く削ったもの。


ふふふっ、

フフッ、


呑んべいの発想ですな。


どんな味わいかって?

書いても伝わりませんもの。

とにかく、

ふふふっ、て、しちゃう嬉しさ。

あはっ!
私も呑んべいですね。

「田中屋さん、
おそれいりやした。」



昼間っから蕎麦屋で呑む。

若いスタッフが、先月で会社を辞めたので、
二人で酌み交わす。

彼は、新しい夢にむかって進むので、
門出の祝い酒。

私は寂しさ隠して酒を注ぐ。


呑んでいる最中に、
別の仕事で関わっている若者から、
「事務所の規模縮小に伴い退職」のメール。

高層ビルを飲み込んだ大波は、
今は町なかで揺れ、

特に、若い人達の小船が、
行き先を探しています。


幸い、彼らは、
新たな目標を定め、
帆を張っている姿を、
私に見せてくれている。


若い人だけでなく、我々も、
今しかない時代を生きています。



若者が満足するまで呑んで食べて、
定番「きざみ鴨せいろ」もいただき、
(田中屋さんには、
「あがり蕎麦」という〆のメニューもある)

店を出て、
これまた平沼商店街で
ひいきにしている古くからの和菓子屋さんが並びにあるので入り、
いくつかを口に頬張り、
かなりの数を土産にしてもらい、

赤ら顔のまま、
彼の(元)職場に乱入。

女性スタッフから、
「お酒くさ〜い」と言われ、
一瞬たじろいだが、

お祝い、お祝い、許してくんな〜、
めでたい門出。
花咲爺さん、職場に饅頭を蒔く。


「こんな時に、紅介さんたら〜」

たぶん、「こんな時」というのは、
「営業時間中で、客もいるのに」という意味だったんだろうに、

それを、
「この不景気な時に」と言われたと勘違いして、

「こんな時こそ、しっかり夢見ましょう」

そう言ってしまった自分が、

・・・ ちょっと好きです。


辞めて行く若者が、
後任の若者を指して言った言葉、

「彼もこれからの子なんで。」


「これからの子」

みんな、これからの子。

カラスの子ではありません。

「なぜ鳴くの〜」


・ー・ー・ー・ー・ー・


これからの子、ならぬ、
こんだけの大人の私は、
ヨガを続けています。

先日、初めて感じたのですが、

うつぶせになっていたら、

父に抱かれている気がしたんです。

子供時代をはっきり覚えているわけではないので、

錯覚なわけだけれど、

この年になって、という衝撃と、
優しい感覚に戸惑った。

ふと、その時、
「母なる大地」と言うけれど、
母は「海」で、

父やおじいちゃんや、叔父達、
男衆が「大地」なのかもしれないと思った。

しばらく抱かれていた。

優しさに涙が出た。



先月今月は、
久しぶりにスタジオ仕事が続いています。

気心知れた仲間や懐かしい顔、
初めての若者アレンジャーとか。

ゴレンジャーではありません。

幾分シリアスなブースにわかれての逢瀬。

ここでも、できる人間、
期待される若者が嬉しい。


今年の桜は一気に咲きましたね。


話題が定まらない日記です。

時々、日記を止めて、
酒や肴にひたっているのが、
バレていますか? 笑。


見事な蕎麦湯氷の写真を見つつ、
我が技の完成度と較べるフリしてみたり、

若い人のことが気になるのは、
わが身の罪滅ぼしのためか、

とりとめのない想いで体をユラユラさせてみたり、

妻が生けた小彼岸桜の枝を相手に、
さかずきを傾けたり。

いい日です。

一日中、呑んでます。ハハ。

「いい日旅立ち」って、
いいタイトルですよね。

もうちょっと呑みますが、
ひとまず、みなさんには、

「おやそみなすいスミソニアン博物館」。

こんな日もありそま日記。




桜よ、桜、

今宵は甘い夢なんぞを見させておくれ。

千年桜の根元に座り、
遠き男衆に杯掲げる。

おろかな花を許してほしい。

けがれなき花を祝っておくれ。

夢の闇夜に、
うすくれないの花びらが舞う。

あわれさと、
いとしさの風が、

あなたの声を遠くする。

行方知れずの木の葉の舟。

せめて今年も花の散る前に、

あの日のあなたに会いたい。

せめて今年も花の散る前に。

酔いしれる。

抱きしめる。

あふれる涙に、
幼い頃の祖母の子守唄。

この命、守りたい。

この命、悟りたい。

あわれさと、
いとしさの風が、

あなたの声を遠くする。

ピンポンパラリ〜ン。

おやすみなさ〜い。


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