『五月メモリアル』
(2008.5.20[Tue])
5月はいくつかのメモリアルデイもあり、 たくさん書くことがあったのですが、おさぼりしていました。
2日3日は『サンキチ・ポンタ・ユニット』のプチツアー、 (何故私の名前だけが入っていないのかはサンキチ君に聞いてみて下さい)、 13年ぶりのトリオ復活ですが、 蘇りますし、成長を感じた。
4日の紅バンドで六本木アルフィ。 気持ち良かった!興奮。 日付が変わる前でしたが、サプライズの「HAPPY BIRTHDAY」。 メンバーの演奏で、お客様に歌っていただき、 ありがとうございました。
5日海老沢一博(ds)3+伊藤君子(Vo)。 ゲストアーティストさんにHAPPY BIRTHDAYを歌っていただける私。照れます。 誕生日を祝うような年齢ではなくなっていますが、 なんだか今年はムチャクチャ嬉しい〜 ホントに大切に一年を送れそうな気がする。
7日の伊藤君子バンドと12日のトク(flgh&Vo)セッションはアルフィで。 毎年5月のアルフィは、日野元彦(ds)メモリアルマンスです。(命日5月13日1999年)
元彦さん(トコさん)の思い出話はキリがありません。 私しか知らないエピソードを今日は一つだけ。 私のCD「TRIP」の中の「EL SOL」のレコーディングの時、 初日一発OKだったのですが、録音ノイズが気になり、 二日目にテンポを遅くし雰囲気をガラっと変えて録音しようと打ち合わせしました。 演奏前にしばらく譜面を見つめていたトコさん、 「うん、わかった、僕、海やるよ!」 あれ〜? タイトルの「EL SOL」は太陽の意味なのに、 トコさん勘違い? でも演奏始めて、トコさん一発目のシンバル「シャ――ン」、 私には「ザッブ――ン」と遠浅の波が見えました。 何度も押し寄せては引く大きな周期が気持ち良く。 一発OKで、一度聞き終えた後、 トコさん:「遠浅の海の向こうから太陽が昇って来てたでしょ?」とニコニコ顔。 お墓参りするたびに、戒名の中の「潮音」の文字を見ては「EL SOL」を思い出します。 戒名の「慈」がふさわしい人で、 きっと今でも「月」のように私達を「照」らしてくれています。 トコさんの行年より、もう二つも年上になったなんて、信じられません。
12日はトクがTRIPの中から3曲選曲してくれました。 難曲「TRIP」も。 Drumの村上寛さん、本番も素晴らしかったけれど、 始まる前や休憩時間にずっと譜面を見つめてくれていました。 「美しい人」です。 トコさんの姿にも重なりました。
そして、明日21日はピアニスト鈴木宏昌(コルゲン)さんの命日です。 トコさんが闘病に入った時に、トコさんから言われ検査してみたらコルゲンさんにも癌が見つかりましたが、 「トコべいを送るまでは言うな!」と。 2001年5月21日旅立たれました。 「音楽を楽しくするため、 素敵にするための努力だったら、 どんなに時間やお金をかけても、 惜しいとは思わない」。 (コルゲン語録。 去年11/5の紅日記も読んでネ)
「俺は、手術の最中に生命の危険があることは認めてサインしたけれど、 手術の結果、Hができなくなることを認めた覚えはない。 長年かけて鍛えてきたH筋肉を〈ねこそぎ〉持っていかれた。 病院を訴えてやる。」 笑いながらそう言っていましたが、嘘でしたね。 ホントは、 もうちょっと広く患部を切除していれば助かったのかもしれない。 でも、そこまで切っちゃうとピアノのペダルが踏めなくなる可能性があると聞いて本人が固辞し、切除しなかったそうです。
術後初の復帰ツアーも一緒させていただきました。 昔、トコさんが弟子達に向かって、 「僕は口で歌えるフレーズはどんなに難しくても叩ける。 でも口で歌えないフレーズはどんな簡単なフレーズでも叩けない」。 それを後ろでコルゲンさんと二人で聞いていました。 もうちょっとトコさんの話を聞いていたかったのに、 「おい紅介、蕎麦食いに行こう!」 メ張鶴を飲みながら、 コルゲンさん:「すごいよなぁ、トコべいは。 俺も言ってみたいよ、歌えるフレーズは全部弾けるって。 俺なんか、フレーズはいっぱい浮かぶけど、 全然弾けねぇもんなぁ」。 ある人から聞いた話で、 その人が「〇〇さんに習っちゃう?」と茶化したら、 ホントにコルゲンさん、そのピアニストに習いに行っちゃったとのこと。 二人とも有名一流ピアニストでしたのに。
術後初ツアーでコルゲンさん、 「俺も歌えるフレーズはだいぶ弾けるようになってきたんだよ。 紅介も練習しろよ」。 私はさておき、 コルゲンさんにもう少しピアノ弾かせてあげたかった。
サックスの松本英彦さんの最後のツアーも、 元気なトコさんコルゲンさんと四人で周ったんだよなぁ。 ラストの酒蔵ライブで1stセット終わったら、 トコさんがいきなり、 「松本さん、体調悪いの? 弱気はダメだよ」。 コルゲンさんも冗談ぽく、 「死ぬ気で吹く。ちゃんと看取ってあげるから」。 私にはプレイが悪くは感じなかったのですが、 後日、松本夫人から聞いたら、 その日の演奏前に血をはいていたとのこと。 救急車は呼ばずにステージに立った。 トコさんもコルゲンさんも、そのことは知らなかったけれど、音でわかった!
陳腐なコメントが言えるような次元ではない人達です。
ただ、 あの四人の中で、この次逝くのは、確実に私です。 (笑、すんません)
ミャンマーのサイクロンや中国の地震、 チベット騒動以来、アジアの悲鳴が地球を包んでいます。 それがあって、なかなか日記を書く気になれませんでした。 音楽をしている時はいいのですが、 それ以外の時に気分転換ができなくなっています。 それにずいぶん前から、涙もろくなってるし。 ちょっとしたことでも、もうダメです。 感性の鋭い人だと、影響を受けて体調崩している人もいるようです。
せめてもの願いです、 新しいアジアの相互理解や協力や民主化が生まれて欲しい!!!
命は、どの命も貴い。 命は、燃えた方がいい。 自分に言っています。
「今日も一日、 燃えま-す!燃えま-す!」(坂上二郎口調で)
しょうがない、練習でもすっかぁ!
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