坂井紅介/Benisuke Sakai
2008年09月
田中泯「場踊り」  (2008.9.15[Mon])

田中泯さんが、
“場踊り”と題し、
静岡県袋井市で踊ると聞き、
行ってきました。

樂土舎という、
自然の中での熱いパフォーマンス。
(松明も持って踊られていましたし)

あんなに興奮した自分に驚いています。

泯さんの踊りなら、
雨がザァーザァーでも、
面白くなるだろうなぁ、
期待して向かっていました。

集まったお客さんも、
完全防雨!

泯さんご自身も、開演前に、
「止んじゃいそうだなぁ、、」。


いぶし銀の野武士のような人。

本人は
「いや、農民です」
と答えるかもしれませんが。


裸足の裏が感じたこと、
手にふれたもの、
肌や内なるものが、
感じたままに踊る、
台本の無い世界なんでしょうね。

「僕にとって、
アレはあの人ですから。
僕の責任ではありませんから。」
踊っている時は、
完全にイッちゃっている?


お客さんの会話の中にも、
イッちゃってるのがありましたよ!

「俺はアクティブでいたいな」

「そんなすごい人なの?あの人。」

「俺のが凄いよ。」

「去年は木の周り
クルクル回ってただけだもん。」

「今年は乳母車も布もあったしね」

「今年はゆっくり回ってた。」

「年とると
ゆっくり回るのはキツイからね。」

結構みんな自分勝手〜(笑)。

でも、なんか、
いい感じでしょ?
この感想群。

ざぁざぁ降りの雨が音を立てているようです。



泯さんを撮り続ける写真家、
市毛實さん。
エネルギーを内に秘めた、
爆発力のすごそうな人。

樂土舎主宰のマツダ氏は、
気さくに舎内を案内してくれましたが、
何か創っている人?
ひきつけられる「匂い」のようなものを持っている人。

樂土舎、
http://www3.tokai.or.jp/rakudosha/
そして、
そこに集まる人、
見過ごせない場になりそうです。

紅ソロライブも
やってみたい。

舎内、いくつかの場所で、
音場や空間が全く変わります。


「場音出し」。


泯さんの農場でできた
無農薬野菜を買ってきました。
美味しそう。
泯さんお勧めの酒、
いただきました。

芸術の秋を
満喫し続けております。

芸術というよりは、
今日は、
原人間への旅。
乾杯!



Star light jazz  (2008.9.13[Sat])

松本英彦メモリアルバンドで青森へ。
「スターライト・ジャズ」コンサートに出演しました。

私はこのコンサート初出演でしたが、

中心街の歩道に、
パイプ椅子が並べられている。

「主催:
街中Star light jazz 実行委員会」
ちゃんと、
街中が銘打ってありました。

お客さん、いっぱいで、
私達に素敵な表情を向けてくれて、

声や拍手が、
本当に
私達を応援してくれていた。
感じちゃいました。
ノセラレちゃいました。

5回目となるこのコンサート、

協賛店名や氏名が
パンフレットにびっしり。

スタッフもボランティア。

実行委員長が若者だったのにも驚きました。

コンサート事務局の、
「Lovely Music Studio」
が楽屋。

オーナーの柴野さんは、
松本英彦さんの元お弟子さん。

奥様が出して下さった
枝豆が美味しくて、
トマトも旨い〜。

皆さん、
お疲れ様でした。
ありがとうございました。

美味しい「手作り」コンサートや、
「地のもの」応援団を
いただいた気がします。

おそらく毎年、
皆さんの協力で
成功してきたコンサートなんでしょう。

青森は、昔から
熱いジャズファンのいるところ。
新旧世代が支え合えたらいいなぁ〜
と思います。


・―・―・―・―・―・―・


「実るほど、
頭を垂れる、
稲穂かな。」

松本英彦さんを思い浮かべていたら、
こんな諺が出てきちゃいました。

稲穂の垂れる様子と、
眠そうな松本さんの姿が似ているから、
というわけではありませんよ。

有名人で、
謙虚な物腰。
衣装は超ド派手でしたけどネ〜(笑)

サウンドチェックが
「GIANT STEPS」
という難曲だったこともあります。

難しくて、
チェックにならない私達。
それを、
あの太い音で、
流れるように
強力なアドリブを
吹き続けていましたよ。
(紅日記5月20日にも記)

そんな、
怪物のような
サックス奏者なのに、

客前で演奏する曲は、

誰もが知っている、

「ダニーボーイ」や、
「りんご追分」。


「ミュージシャン、
内々のウケに意味はない。
広く世の中に伝える」
ということなのでしょうか?

つながらないし、
結論でもありませんが、


メジャーって、

商業サイズではなく、
その人の大きさ
のような気がしてきました。


『外側きれいでも、
中身がまずい人間には
なりたくないよね』
(アコーデオン奏者:
白井幹也ミッキーさん談)

いい台詞でしょ?
本人を知っていると、
もっとこの言葉が
素敵に響くんですが。
(ニコッ)



気をつけないと、
「誇り」が「奢り」に
変わっていることがあります。
それを防ぐのは、
純粋に努力ですか。



今回共演の、
ピアノの市川秀男さん。
松本さんと共に、
栄光のバンド
「ピッグフォー」のメンバーでした。
私達を、
アンビリーバボーな音楽世界へ
連れて行ってくれる、
もちろん、
バリバリ現役で、
若いミュージシャンからも招聘される、
いつまでも新しいピアニストです。
今日のバンドの
〈核〉となって下さいました。
光栄です。
松本夫人も、お疲れ様〜、
ありがとうございました。

写真は、
楽屋でいただいた饅頭、
「ワタシはじゃず饅」。
ジャズマン?!

一緒に写した
プチトマトや
みかんや林檎や
枝豆がキレイでしょう?



Hank Jonesハンク・ジョーンズ!  (2008.9.10[Wed])

Hank Jonesハンク・ジョーンズさん(P)とご一緒しました。

90才!

ジャズの歴史を作った人。

足元は支えてあげたくなりますが、
ピアノとジョークはオチャメ、
「はいはい、
勝手にしなさい」
って感じ。

ご一緒すると、
毎回のことですが、
光栄で、幸せで、
濃くて、楽しくて、
感動の、素敵なセッションになります。

音楽って、すごいですね。
さっそくの書き込みが、
今夜の様子を物語ってくれています。
『どれくらい、
音楽が私達を幸せにしてくれるか、
自由にしてくれるか、
言葉にできないくらいです。
今日は本当にありがとうございました。』

この気持ちは、
演奏した側の人間も同じです。
共演者が、若くとも、年寄りでも、
プロでもアマでも、
至福の時間は訪れます。
でも今夜は、
やはり、ハンクさんに感謝したい。

この気持ちは、
時がたつほど重みを増していくのでしょうね。

夢のような幸福感。


ジョイスJoyce  (2008.9.7[Sun])

ジョイスJoyceを聞いてきました。
気持ちよかったぁ〜!

紅日記(07年12月8日)で、
狸が聴きに集まって来た、
あの歌手です。

今夜は、狸は出ませんでしたが、
空気が揺れていました。
そよぐ風のように、
大きな波のように。

バンドもよかったぁ〜。

お客さん全員、
気持ちよく揺れていました。

動物だけでなく、
人も植物も、
気持ちよく巻き込む
オーラのようなもの、
大きくなってるジョイスを感じました。

愛?

それに、旨さ。

ニュートラルだから、
どのギヤにも入れるんだよね。

ボサノバって、
しっとり都会的なだけでなく、
こんなに人をワクワク興奮させるもの?

みんな元気になっていったよ!

気持ちよさは、
動物や木、
土やコンクリートにも伝わるね、きっと。

笑顔、よかったぁ〜。
昔からあの表情してた。

昔からギターうまかったけれど、さらに!
声の艶とハリ、ピッチ。
なんといっても、あのリズム!
歌でバンドを
グイグイ引っ張っていたよ!

ちょっと参りました。
ヤラレました。

また考え直します、
自分の姿勢を。

もっと進みます、
スパートかけなくちゃ(笑)

楽屋に心よく迎え入れてくれたジョイス。

覚えていてくれました!
(狸ではなく)私のことも!!

ドラムの吉田和雄さん、
「SPICK & SPAN 」
のおかげですね!
(07年12月8日紅日記に書きました)
すんごい幸せな夜〜。


アートな旅  (2008.9.2[Tue])

先月末のツアーでは、
移動と休みを利用して、
美術館にも行きました。

金沢21世紀美術館で、
ロン・ミュエックRON MUECK展、

静岡県立美術館で、
鑑真和上展、

見ました。


ロン・ミュエックの作品は、
好き嫌いのはっきり分かれるアートでしょうね。

不気味にも見えますから。

生きているような、
精巧な人体の再現。
職人芸で、
毛穴や
浮き出る血管まで再現されたリアリズム。

でも、
大きさが尋常じゃない。

身長7mに達するかという
女性がベッドに横たわる姿だったり。
30cmの男女人体。
3mの男性頭部。
7mの赤ちゃん。

最初の作品とご対面した瞬間に、
大笑いしてしまった私。
ヒンシュク。

わかってはいたけれど、
ガードマンの人に、

「(作品に)
触っちゃいけないんですよね?」

「でも、
絶対に触りたくなりますよね?」

と声をかけていました。

作品に近づいて観察していたのですが、

ふと思うことがあり、

遠くから眺めてみました。

作品に群がる観客達。
異星人をみんなで覗き込んでいるような。
突然変異種の見学会のような。

作者はこの光景も絶対視野に入っているはず!

リアルなのに、
大きさが尋常じゃないから、
妙な錯覚が生まれる。

そして、
作品達が笑っていない。
どこか醒めた表情。

リアルに造られているのに、
作品達の方が
現実から目をそらそうとしている。

しまいには、
動物園と同じで、
見られているのは
「こちら側」の人間のような錯覚をおこす。

作者の、
作品への愛情と、
見る者に対しての挑戦心?

好き嫌いの分かれるアート、
と書きましたが、
私は、初っ端に笑ってしまったわりには、
ずいぶんと時間をかけて
二度も周ってしまいましたし、
昔だったら、
嫌いなアートのはずなんですが、
好きになっちゃったのかも。
なぜか、わかりませんが。


でも、作品が、もし、
日本人を再現していたら、
また違う印象になったような気もします。


話は変わりますが、

なぜか私は、
「大男」「巨人」というと、
必ず、
子供の頃に読んだ童話の、
「西欧人の巨人」
しかイメージできません。

日本人の
「巨大男」は、
想定外です。

日本の巨人の場合は、
鉄人だったり
魔神になっちゃうわけでして。

これって、私だけ?


・―・―・―・―・―・


鑑真和上展は、
言葉も無くなるくらい、
素晴らしかったです。

会場内で、遠くに、
鑑真和上座像が見えた瞬間、
足が震え、体が震え、
見学順路を無視して、
座像に近づいていました。

本来、
寺に納められている状態では、
仏像を裏側から見るなんてことは
できないわけですが、
美術館展示だと、
それが至近距離で可能になり嬉しい。

中国の僧にとって
最高の死に方は、
座ったまま息を引き取ること。
鑑真の死期が近いことを感じた弟子達によって、
まるで鑑真が生きて座っているかのように、
虚飾を避けて彫り上げた作品。
再び正面へ周って相対した時、
なんと表現していいのか、、、
ありがたくて、、、
幸せ感に包まれて、、、

涙が、理由もわからず流れ出てきて、

手を合わせていました。



鑑真和上展では、
唐招提寺修復の、
解体と組み立て行程も、
写真やビデオで公開されていて、
宮大工のすごい技術作品ですね。
来年修復完了だそうですよ。
絶対行きます!

像や書や装飾品等も素晴らしかった。

釈迦の骨を納めていた飾りを前にし、
ずいぶん遠くまでいらしていただいたものだ、と
ありがたく感じました。



静岡県立美術館では、
ロダン展も同時開催されていましたが、
もう鑑真展だけで腹一杯、
ロダンをパスしました。

金沢21世紀美術館でも、
他に面白そうな展示がありましたが、
ロン・ミュエック作品だけにして、
外の空気を吸いに、
兼六園へ向かいました。

どちらの展示も大満足、
行ってよかった!


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